完璧な病室 / フロール


前回からずいぶんとご無沙汰してしまいましたが、
「アンナ・カレーニナを読み終わったので、軽いものを読んでみよう」
企画第3弾です。(第1弾第2弾


終わってみると3冊とも全然軽くなかったです。
かえってアンナ・カレーニナのほうが躍動感があるぶん軽いかも。
読んでみないとわからないものですね。



最後の1冊は小川洋子さんの「完璧な病室」。短編集です。
小川洋子さんは以前「ことり」を読んで以来、小説は2冊目となります。



この本に登場する主人公の共通点は、恐ろしいまでの純粋さ、です。
前回読んだ辻村深月さんの「鍵のない夢を見る」の主人公の持つ純粋さ(それを純粋と呼ぶのは適当ではない気もするけれど)とはまた異なる次元。
「ことり」で描かれている純粋さは、どこまでも淀みのない純粋さです。
透明度の高い純粋さ。市川拓司さんの描くそれに似ています。
「ことり」のお兄さんと、主人公の全部ではないけれど多くを占める部分、市川さんの作品に登場する人物像はよく似たピュアさを有している。(ゆえに、彼らは社会で生きていくのが困難であるのだけれど)

それらとはまたちがいます。
なんというのでしょうか、深淵にどす黒いものがあるけれど、その上澄みを必死にすくいあげようとしているような純粋さです。
闇を常に意識しながら、おびやかされながら、それをひたむきに見ないように努めている、それによって結局は意識せざるを得なくて、対称となる光を求めつづけてしまう。
それが人により、例えば完璧な病室であったり、K君夫妻であったり、ダイヴィング・プールに飛び込む純くんであったりする。


主人公から見て、淀みのない透明な純粋さ。
つまり羨望してしまうのは、自分のなかにある闇の部分を認識しているから。
でも、そうやって求めつづける主人公たちも、ある意味純粋であると思う。
壊れてしまいそうな、純粋さ。



語彙が乏しいので、みんな「純粋」と同じ言葉でしか表現できません。
「純粋」は広辞苑によると「まじりけのないこと。異質なものをそれ自身に含まないこと」だそうです。



 *






完璧な病室 (中公文庫)

小川 洋子 / 中央公論新社




文中で取り上げた本3冊

鍵のない夢を見る

辻村 深月 / 文藝春秋



市川さんはこの本がよく表れているなあと思います。

ぼくらは夜にしか会わなかった

市川 拓司 / 祥伝社



ことり

小川 洋子 / 朝日新聞出版





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by minori_sb | 2013-08-21 09:55 |


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