ゼラニウムの庭


アンナ・カレーニナを読み終わって、次はグレート・ギャッツビーにいきたいところなのですが、そのあいだに軽いものが読みたくて、日本の現代作家さんの本を何冊か。


今回選んだのは「ゼラニウムの庭」。
大島真寿美さんの本は読んだことがなく、題名に惹かれて手に取りました。


物語の中心を占めるのは嘉栄さんというひとりの女性。
3世代にわたる嘉栄さんと歩んだ一族の歴史、というと大仰しいですが、女系一族の歴史をるるちゃんこと主人公が回想録というかたちで綴っています。


そこには豊世さん、るるちゃんの主観が大きく反映されています。
一見化け物じみた嘉栄さんの存在を、読者はふたりの語り手の視点からみることになります。
嘉栄さんってなんなんだろう。
良くも悪くも、この一族は嘉栄さんを中心に周り、翻弄され、縛られている。


巻末に、嘉栄附記があります。
最後は嘉栄さんの視点から見た一族の歴史とでもいうのでしょうか。
嘉栄さんの視点から見ることで、彼女も人間なのだなあとも思えるし、逆に並大抵の人物ではないこともわかります。



万物は移ろいゆくもの、とこの本を読んでいるとそんな考えが頭をよぎりました。
どんなに長く生きても100年そこそこの人の寿命。
そのなかで人は短い時間をあせくせと生きる。
もっと人生が長ければいいのに、と思うことだってあるでしょう。
不自由でもあり、孤独でもある。

嘉栄さんは、実際に存在したらあまりお近づきになりたくないタイプの人ですが(ミノリの器がちいさいからかもしれません)、彼女の附記を読んでいると、化け物ではなくどこにでもいる普通の人間として近しく感じてきました。
と同時に、彼女が豊世さんと双子だったということもすんなりと身にしみてきました。
人の限界も彼女は無情に突きつけているし、だからこその羨望もそこにはある。


物語の随所に散りばめられた、あの井戸のそばに植えられたゼラニウム。
何度も立派な花をつけ、枯れ、また花をつける。
世界の縮図のようですね。
守られたあの空間で咲きつづけるゼラニウムは、ちっぽけで、でも素晴らしい生物の生涯を象徴しているように感じられます。




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by minori_sb | 2013-07-20 15:37 |


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