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アイルランドのステンドグラス作家 ハリー・クラーク

ハリー・クラーク

海野 弘(監修)/パイインターナショナル

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前々回に、由布院のステンドグラス美術館へ行ったことをちらりと触れました。
ステンドグラスについて詳しい説明がしてあって、それまでステンドグラスにつゆほどにも興味がなかったのですが(すみません)、「へー」「ほー」と興味深かったです。

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建物のなかは2階建になっていて、2階は各国ごとの特色あるステンドグラスが飾ってありました。
面白いのは、内装が国ごとのイメージで壁紙やカーテンがレイアウトされていたこと。
ドイツは三つ編みと童話のモチーフをイメージとかあった気がします。(すみません、前過ぎて忘れている…)

それで、その中で、アイルランドの部屋というのがあったのですね。
そこにあったのが、ハリー・クラークのステンドグラスです。

ハリークラーク(1889-1931)は、アイルランドのステンドグラス作家です。
そして、ステンドグラス作家としても有名なのですが、挿絵画家としての一面もあった。
イェイツやアラン・ポー、ゲーテのファウスト、他にもアンデルセンの童話の挿絵も描いています。

この美術館にあったのは、ステンドグラスによくあるキリストを描いたものでしたが、その脇にペン画のイラストも飾ってありました。
もう記憶が定かではないのですが、リトル・ピープルなんとかだったと思います。(タイトルだけでもメモしておけば良かった)
アイルランドはリトル・ピープルと由縁が深いですよね。
クラークの描いていたそのイラストは、色合いも暗くて結構不気味なところもあって、ファンタジックな妖精さんという感じではなかったのですが、なんでしょう、その独特な雰囲気になんともいえず、惹かれてしまいました。

ステンドグラスも、なんというか奥行きがあるんですよね。
思わず見入ってしまう。クラークらしさというのがあるんです。

でも、とにかくわたしはそのリトル・ピープルなるペン画にどうしようもなく惹かれてしまったのです。


わたしは美術館に行くと、ぐるぐると回って、最終的にその美術展の”マイベストワン”を見つけて、そればっかりじーっと飽きるまで見るんですが、今回はクラークのリトル・ピープルのペン画がそれでした。
全部の部屋を見終わったあと、結局その部屋に戻ってそれだけを15分くらいずーっと見ていました。(母と叔母を待たせていたので途中で諦めました…)
↑こういう特性があるので、芸術鑑賞は人と行くのは向いていないです。。いや、芸術だけじゃない。昔兼六園に行った時は松に感動して(木が好きなので)友人を大いに待たせて呆れられたので、基本集団行動が向かないですね。。


話を戻しまして。

ステンドグラスにも絵本の挿絵にもさして興味のなかったので、ハリー・クラークという人のこともそこで初めて知りました。
もちろんこの美術館には他にも有名なステンドグラス作家の作品がいくつか展示してあったのですが、その人たちのことは綺麗に忘れてしまってもう全く思い出せません。
わたしは基本的に名前を覚える作業がとても苦手なのです。
しかし、「これは忘れてはいけない」となんかすごく思ってしまって、がんばって覚えたんですね。
いまから思うと携帯にメモしておけば良かったんだけど、メモもしないで頭に一所懸命覚えさせました。


ステンドグラス美術館なので、当然のようにわたしの気に入ったそのリトル・ピープルのイラストの絵葉書は売ってなく。
クラークのステンドグラスの絵葉書は売っていたのだけれど、それは買う気にはなれなくて。


で、由布院から帰ってきて、それから何度かクラークのことを思い出して、また忘れて、また思い出してを繰り返して。


ついに画集を買ってしまいました!(トップに紹介した本です)



ハリー・クラークの生涯や、絵本や本の挿絵、ステンドグラスまで約180点が掲載されています。
残念ながら、わたしが由布院で見たリトル・ピープルのペン画はなかったのですが、たくさんのイラストにもうやっぱりこれだ、と。

昔好きだった漫画のイラスト集とかは買ったことが何度かあったのですが(あったのか)、こういう美術的なものを買うのは実は初めて。
いや、この本はソフトカバーで値段も3000円くらいなのでお安いほうかもしれないのですが。
自分的にはこういう風に買おうと思うまでに気持ちが突き動かされて、しかも買ってこんなにこれだと思えたのは、とても新鮮な体験でした。



絵画はどちらかというと印象派が好きで(ルノワールとかピサロとか)、あんまりこれ!というほどの好みはこれまで希求したことがなかったのですが、ああ、これは出会えて良かったなあと思えるものでした。
何気なく立ち寄った由布院のステンドグラス美術館で起こった、運命的な出会いでした。




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by minori_sb | 2017-07-19 07:30 |

「勝負師と芸術家と研究者」 --「あるがまま」を受け入れる技術 何もしないことが、プラスの力を生む

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 映画「3月のライオン前編」のときにチラッと紹介した、心理療法家の故河合隼雄さんと谷川浩司九段(十七世名人)との対談集です。
ずいぶんと昔に、河合隼雄先生の本を片っ端から読んでいるときに、手にとった一冊。
河合隼雄さんはたくさんの方と対談をされていましたが、対談集は村上春樹さんと、この本だけなぜか手もとにあります。 



タイトルの「勝負師と芸術家と研究者」は、谷川さんが『棋士にはどういう素質が必要か』(谷川浩司、P90)というとことで、述べられています。
この3つの素質をバランスよく持っている人が強いんじゃないかと。

谷川さんが次のページでこれは棋士だけじゃなくて企業のリーダーにも求められる資質と、本田宗一郎さんや松下幸之助さんを例にとって挙げられ、河合隼雄さんもあとがきで、これはいい、カウンセラーもこの3つの資質が大切だと改めて触れています。 

研究者の側面と、芸術的なセンスと、そしてときには勝負する度胸も必要。
この3つの資質は、棋士や企業のリーダー、カウンセラーだけでなく、いろいろな職業の人に当てはまるのではないでしょうか。 


表題の「あるがまま」を受け入れる。「無為」の境地ですが、そこに至るまでが、何にもしなくていいというわけではない。


『「何もしない」という考えに到達する前に、しなくてもいいことをやったという経験があるわけです。そういう経験があって、だんだんと「何もしない」ことの大切さが分かってきたわけですね』(河合隼雄、P158)


おふたりともわたしの想像が及ばないほどすごい方だと思いますが、日々ものすごく努力なさっている。
よく「天才は1%の才能と99%の努力でできている」というけれど、才能があっても努力も必要。


『クリシュナムルチの「ものごとは努力によって解決しない」という言葉が好きです。それにしては「お前はいろいろ努力しているではないか」と言われたので、「解決しないとわかっていても、凡人だからせめて努力くらいはさせていただいている」と言ったことがあります』(河合隼雄、P158)


「3月のライオン」でも、零くんはものすごく努力しているからこそ、プロ棋士として活躍できています。
香子と歩のおそらく何倍も。それができたからこそプロになれたのでしょう。
もちろん努力したからといって、それが必ずしも結果に結びつくとは限らないのが現実の厳しいところ(ここが1%の才能なんだろう)。

島田さんも宗谷さんのことを『「天才」とよばれる人間のごたぶんにもれず、サボらない』と言っています。だから差は縮まらない。けれど『オレが「努力しなくていい」って事にはならない』(3月のライオン 4巻 Chapter.39)

うーん、やっぱり島田さんは格好いい。 


わたしも凡人なりに努力はもっとがんばりたいと思います。
疲れてくるとすぐに努力を怠っちゃうのよね。ここが天才と凡人の違いなのだろうな。
努力は「研究者」の側面に位置するかと思います。
でもそれだけじゃなく、「芸術家」と「勝負師」(これ、わたしは足りない気がする!)もこころに留めながらバランスよく。



余談。
たまたま河合隼雄さんの『スクールカウンセリング講演録』をパラパラとめくっていたら、この「勝負師と芸術家と研究者」が取り上げられていました。




by minori_sb | 2017-06-10 07:30 |

小説家の書く小説以外の文章 --ラオスにいったい何があるというんですか?



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村上春樹さんといえば小説家です。
その文体は美しい日本語であると思います。
世界中で翻訳されているけれど、やはり地の言葉で読めるのはなんともいえず幸運なことです。 


そんな春樹さんの紡ぐ文章は、小説だけでなくいろんな方面でとても心地いいです。
それはわたしが村上主義者というのもあるのかもしれないけれど。
ん? 村上主義者という言葉をそういえばはじめて出しました。
それについてはまた次回。 


とにかく、小説以外の文章って小説とはちがったその人の素の人柄が出ますよね。

たとえば市川拓司さん。
小説はとってもピュアだけれど、ご自分のことについて書かれた本を読むと、印象がガラリと変わります。
でも巡り巡って、ああなるほど、この人だからこんな物語がつくれるのかと思います。



一旦小説を離れた文章を読んで、また小説に立ち返るとちがった視点が見えてきます。
物語そのものの素材は変わらないし、実際にその作者と会えたわけではないけれど、間接的に小説以外の文章で作者と会う疑似体験を通して、そのあと再び物語に立ち返ってくるのも、ひとつの物語を味わう醍醐味かもしれません。
いやいや、物語そのものを味わえば良いではないかという意見もありますが。



わたしが小説以外のその作者の本をよく読むかといえば、実はそうでもないんだけれど、この文章を書いていてもうちょっと読んでみると面白いかもしれないと思いました。
でもそれでその作者の本をもう読みたくないと思ったら嫌だなあ。
いままでそうなったことはないんだけれど。 



はじめは本の感想を、旅について書こうと思っていたのに、いざ書きはじめるとだいぶ逸れてしまいました。
最後にすこしだけ。

この本を読んで、無性に旅に出たくなりました。
ちょうどいまの自分の状態が旅を欲していることも関係しているのかもしれません。


世界中を旅している春樹さんならではの紀行文集ですが、旅をするということそのものについても、どんなことをどんなふうに楽しむのか、春樹さんの文章を読んでいると、かたくなっていた頭が(わたしはけっこうかたいのです)柔らかくなってきます。
だからとっても心地よいのです。


好きな一節。 
故事来歴について細かい説明をしてくれるガイドのような人が一緒であれば、それは何かと便利だろうとは思うけれど、細かい歴史的事情や宗教的背景がそんなにわからなくても、ガイドブックを頼りに、自分一人でいろいろと想像を巡らせながら歩きまっているだけで、けっこう楽しめます。というか、その方がむしろ自分のペースで移動できて都合が良いかもしれない。そこでいちばん大事なことは——僕の個人的な意見を言わせていただければ——とにかくゆっくり時間をかけることだ。
(P165 大いなるメコン川の畔で) 


なにかにゆっくり時間をかけて没頭できるような、そんな旅がしたいです。



村上主義者についてはまた次の機会に。




海外の旅行記が多いですが、熊本の話もありました。
くまモンについての一考察は愉快です。



市川さんの生い立ちを知ると、この方が文章を紡げたことで多くの人に(発達障害の人もそうじゃない人も)希望を与えていると思います。



by minori_sb | 2016-10-06 08:00 |

ヒトラーとは何か


新訳 ヒトラーとは何か

セバスチャン ハフナー / 草思社




数年前からホロコーストやアウシュヴィッツに関して興味を持って何冊か文献を読んでいたのですが、肝心のヒトラーのことはよくわかってないなということで本作を読むことにしました。


いやー、ほんとうによくわかっていなかったんだなあというのが感想です。
いままでのヒトラーのイメージが過大な評価だったんだなあということが、鮮やかな切り口でよくわかります。
ついヒトラーとか、その人だけを見て独裁者と考えてしまうけれど、歴史的政治的背景、諸国との関連、全部ひっくるめて考えないといけない、その視点に気づかされました。



幸か不幸か、ヒトラーの存在は戦後のヨーロッパ諸国の植民地解体、アメリカとソ連の冷戦の誘発、いまのEUへと統合していく流れをつくり、結果的にはヨーロッパがひとつになろうとする方向へ向かわせたという事実。
そしてイスラエル建国に貢献(?)することになる。


そんなふうに考えたことなかった。
たとえば日本が戦争に勝っていたら、いまでも軍事国家で平和憲法もできなかっただろうし、歴史は相互関連が非常に強いことを、その繋がりを、もっと自覚して考えなくてはと思いました。



しかし全体として感じるのはヒトラーという存在が「理解できない」ということです。
理解できたら、それはもう「異常」の域です。




ふむふむと興味深く読みましたが、面白いわけではないので、読み進めるのにとっても時間がかかりました。
いつもは本を読んだらお菓子をいっしょに載せるのですが、とてもそぐわないので、今回はなし。
by minori_sb | 2013-10-26 05:25 |

エロスと神と収容所 エティの日記

数年前からアウシュヴィッツに興味を持ち、ホロコースト関連の本を読むようになりました。

先月、市川拓司さんの「吸涙鬼」を読んでいたときに、病床の主人公が手にしていた本がこの「エティの日記」です。
まだ読んだことのなかった本なので、興味深くなって読んでみることにしました。
ついでに、吸涙鬼がどうもわたしのなかでそりが合わなかったので、喉の奥に引っかかったような、なにかがわたしをこの本に向かわせました。

ユダヤ人の女性が書いた日記としては、「アンネの日記」がよく知られています。
エティはアンネよりも年上の20代後半の女性で、アンネがあの隠れ家生活で少女から大人への成長を見せたのに比べると、ある程度成熟した大人の女性の日記です。
そして彼女は、外的生活よりは自身の内面を重んじ、奔放な性生活も臆することなく綴っています。

はじめわたしは、そのエティのあまりにも強い自意識に付いていくことができず、何度か読むのを途中でやめようかと悩みました。
それくらい鮮やかに、生々しく、自分の内面を綴った日記です。
日記は本来他人が読むことを想定していないもの、だからわたしは覗いてはいけない他人の内面を覗き見したような気分になって、激しい抵抗にあいました。

それでも気にかかったのは、彼女のSへの想いと、ときどき表れるユングの名(Sはユング派の精神分析医)、彼女の向かおうとするところが、またわたしを本に戻らせました。

2年目を過ぎたころから、日記は様相を変えていきます。
彼女の精神の成長が、このたった1年半あまりに凝縮されています。
エティを通して、人類の愛はなにか、魂の救済はなにか、神はなんであるか(こう書いてしまうと、言葉に表すととても陳腐に見えてきてしまうのが誠に残念なのですが)教えられます。
はじめあれほど起こったエティへの抵抗は陰を潜め、最後には深い尊敬と敬愛を抱くようになりました。

彼女に訪れた運命は、その時代に襲った多くのユダヤ人と同様に残酷なものでしたが、彼女の精神はそれに侵されることがなかった、むしろその出来事が彼女をさらに高めたのは、アウシュヴィッツから生還したフランクルがいうように、出来事そのものが人を貶めるのではなく、そのなかでどう意味付けるかにかかっているのでしょう。
時代を越えて、普遍的なテーマであるといえます。

いまは日本では戦争がなく、まったく脅威がないといえば嘘になりますが、少なくとも日常で戦争を意識することのない平和な時代です。
平和であるからこそ、根源的な人間のありかたを追求することはむずかしいのですが(とても贅沢な逆説ではあるのだけれど)、だからこそ思想の自由も許されるこの現代で、改めて考えなければならないのだろうと思います。

エティはシンプルに、彼女の日記を通してそのことを示してくれました。




エロスと神と収容所―エティの日記 (朝日選書)

エティ ヒレスム / 朝日新聞社






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吸涙鬼
by minori_sb | 2013-04-13 18:35 |


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